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  • こんにちは。守口市会議員団です。

    耐震補強工事管理業務委託の随意契約(特名)で不調

    [2014.3.17] -[インフォメーション]

     去る6月26日、守口市は庭窪小学校など12の小中学校校舎棟の耐震補強工事のうち、7つの学校の工事を管理する業務を業者に委託するためにそれぞれの設計業者に対して見積依頼の文書を送付しました。
     これは、2月の補正予算や6月議会の建設文教委員会でも明らかにされたように、工事の施行管理をするだけの市職員がいないために業者に委託するものでした。

    耐震補強工事施工管理業務3校で不調

     ところが、7つの事業のうち3つの設計業者が辞退するという結果になりました。6月28日にそれぞれ見積書が提出され随意契約(特名)となる予定でしたが、錦小学校、第一中学校、八雲中学校の設計業者が辞退したのです。錦小、第一中学校の業者は、当初から見積書を提出せず辞退届を提出しましたが、八雲中学校の設計業者である(株)綜企画設計大阪支店は第一回目の見積もりは予定価格の倍以上の金額を提示し、2回目に辞退としたのです。
     学校校舎の耐震補強工事は7月1日から始まっています。工事の施行管理は不調になった3校を含めて8校を直営で行っています。

    直営管理には人員不足、無謀な職員削減のツケが

     しかし、守口市の建築課には正規職員で1名の1級建築士、再任用職員で3名の1級建築士しか配置されていません。業者に委託する場合の職員の配置は委託仕様書には「委託監督員として、など委託総括監督員(意匠)1名、委託主任獲得員(構造)(意匠)各1名、委託一般監督員(機械設備)1名、委託一般監督員(電気設備)1名」とし「委託総括監督員は1級建築士の資格を持つもの且つ工事管理業務について5年以上の経験を有するものまたは、1級施工管理技士の資格を有し且つ7年以上の経験を有するもの」など厳しい資格を求めています。そして「委託総括監督員(意匠)若しくは委託主任監督員(意匠)は原則として工事作業日に駐在するものとする」と工事中には常駐するように求めているのです。
     業者に厳しい要件を求めているのは、そうしなければ耐震補強工事の施行管理ができないという判断があるからなのです。当然、市直営であってもその要件というのは必要なのです。現在の建築課の職員配置で十分な体制がとれるのでしょうか。ここにきて無謀な職員削減のツケが回ってきました。

    事業者選定に問題がなかったのか

     もともと、工事施工管理業務を業者に委託するのに設計業者一者に絞って、いわゆる一者随意契約・特名契約でよかったのでしょうか。地方自治法は競争入札を原則としています。その例外として地方自治法施行令167条の2第1項で9つの具体例を挙げ、その場合に限り競争入札ではなく随意契約でよいとされています。
     今回の場合は、第6号「競争入札に付すことが不利とみとめられるとき」にあたるのでしょうか。また、市当局は平成20年3月の「官庁施設における耐震改修事業実施ガイドライン」による「2.6.2耐震改修工事における取扱」に「設計者でなければ知りえない情報を施工者に正確に伝達し、実際の施工現場の状況に応じて臨機に修正したり、施工状況を確認したりする高度な技術判断を要するため、設計者でなければ工事管理し得ない場合がある。」として「随意契約を検討する必要がある」としていることを根拠として随意契約(特名)にしたと主張します。確かに随意契約にした理由を「公的判定機関の委員との技術的な協議や…(中略)…判定書の内容と異なる施工は許されません。また、工事管理業務についても設計者でなければ知りえない高度な技術的判断や…(中略)…設計者以外のものが業務を行うには様々な困難が伴います。つきましては…(中略)設計者である当該業者と随意契約を行うものです」としていますから、ガイドラインが「錦の御旗」の役割を果たしていることになります。
     しかし、「ガイドライン」は、工事管理の基本方針は2.6.1において「工事管理業務については設計意図の伝達業務を設計関連業務と整理し、設計内容に客観的な技術的検討を加え、適せてな品質確保をより一層推進するため、第三者生を確保する必要があることから、原則として設計業務の受注者とは異なるもの契約することとしている」と、平成13年2月の「建築管理業務の管理委託の基本方針について」で示された基本方針を堅持したうえで2.6.2で「特殊な構工法を採用する場合」「また、免震工法等、特殊な構工法を採用する場合には大臣認定を受ける必要があり、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算により安全性を確かめなければならない。」このような場合には「随意契約を検討する必要がある」としているのです。同じく2.6.4には「随意契約方式の適用の検討の際には契約事務の公正性を保持し、経済性の確保を図る観点から、今後とも個々の具体の発注業務ごとに技術の特赦性、施工の安全性、経済的合理性、緊急性等を客観的・総合的に判断し決定するものとし、随意契約方式を適用することとした場合には、その理由を十分に整理し公表する必要がある」と明記しています。安易な随意契約を認めているのではありません。

    身勝手で利益優先の民間企業の姿勢があらわに

     工事施工管理入札が、2以上の業者からの見積徴取もなく、随意契約でも特殊な一者のみの特名入札になっていますから落札率も高くなっています。庭窪小学校の工事管理の落札率98.4%、佐太小学校は99.8%、庭窪中学校は99.5%、大久保中学校は99.2%といずれも100%に限りなく近い数字になっています。
     耐震補強工事でもすでにお知らせしている通り一者入札で100%に限りなく近い落札率でした。建設文教委員会で厳しく追及され、不調になった工事の入札は制限を緩和し業者の参入を図ったため、錦中学校耐震補強工事は6者の競争で落札率は81%、庭窪小学校は5者の参加で82%、金田小学校は5者の参加で85%と落札率はいずれも90%を割り込んでいます。
     このことが示すように競争が働かない場合は落札率が高くなるということです。また、工事施工管理業務委託が設計段階で特殊性や正確に伝達しなければ工事中の危険性が増幅されるので特名契約だというのであれば、契約を拒否した業者の責任はどうなるのでしょう。
     綜企画設計に至っては予定価格の倍以上の金額を提示し、それが受け入れられなければ辞退しています。そこには高度な技術は2の次、設計者としてのモラルもなく、ただ自社の利益の多少によって仕事を選ぶという民間特有の利益優先の姿勢と無責任さが見え隠れしています。
     学校の耐震化を図り児童・生徒及び教職員の安全を守るといいながら、無計画な思い付きにも似た耐震改修は、結局企業の利益優先の姿勢に振り回され、後味の悪いものになりました。西端市長は市民にどのように説明するのでしょう。