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  • こんにちは。守口市会議員団です。

    平成29年度2月定例会、3月24日、本会議での日本共産党真崎求議員の「議案第29号 平成29年度守口市一般会計予算」への反対討論の全文を紹介します。  

    [2017.3.24] -[インフォメーション新着情報議会報告]

    私は議案第29号 平成29年度守口市一般会計予算案に反対の討論を行います。

     

     地方公共団体の事務・事業は計画的に行われる必要があり、かつ、歳入される範囲内で行うべきものです。

     

    そこで地方自治法は、①地方公共団体の事務・事業の執行計画、②その執行に要する経費の財源調達計画、③経費の支出計画の「三つ」が一体となった計画、すなわち「予算」を作成して、これに従って地方公共団体の事務・事業の執行及びこれに伴う経費の支出を行うべきものとしています。

     

     さて、本市の予算を見るとき、重大な問題があることを指摘しなければなりません。

     

     最初に、財産収入として、八雲中1丁目市有地、梶第一団地Cブロック跡地、第4中学校跡地などの土地売却代金136千万円が計上されていることについてであります。

     

     守口市には「立地適正化計画」というものがあります。平成28年度中には都市施設誘導区域が指定されますが、いずれの土地もその区域の範囲内にあります。

     

     市長は、私どもの代表質問での未利用地の活用について「今後の活用の見込み等を充分に庁内議論を行」っていると答弁しましたが、守口市重要資産処分等に関する連絡会で都市施設誘導について発言したのは都市整備部長ただ一人でした。総務担当部長に至っては「ここに制限をかけるようなコンセプトは今はない」とまで言い切っているのです。

     

     ただ、この議論も第4中学校跡地に関してだけで、八雲中1丁目市有地、梶第一団地Cブロック跡地に至っては都市施設誘導区域については何の議論もされておらず、すべてにわたって売却が前提の議論になっています。守口市所有の土地を利用しての都市施設の誘導などはみじんも議論されず、ただ売却だけが確認されています。

     

    まず、検討しなければならないのは、「計画」に基づき、当該地域にどのような都市施設が足りないのか、誘導すべき都市施設は何か、そのために当該土地をどのように利用すべきかということですが一言も議論されていません。

     

     市民の大切な税金で取得した市民の財産が、この程度の議論で、「十分な議論を行」ったとして売却が決定されたかと思うと腹立たしさを通り越して呆れてしまいます。

     

     

     また、時系列に見ていけば、この土地の売却が、歳入欠陥を補うためのものであることもわかります。八雲中1丁目と梶第一団地Cブロックについての議論は、112日、第4中学校跡地についての議論は22日であります。

     

     予算編成がほぼ終わりを告げる頃です。

     

     歳出が順次確定して、歳出に見合う財源を探すことが必要になり、慌てて重要資産処分等に関する連絡会を開催したことが見て取れます。

     

     29年度は大幅な財政支出が見込まれます。就学前教育・保育の無償化です。歳入不足165百万円、保育料負担額51千万円合計675百万円の財源が必要になります。

     

     第4中学校跡地売却は補助金適正化法の関係で学校施設整備基金に積み立てしなければなりませんから一般財源としては使えません。そこで、その分を差し引くと、八雲中1丁目市有地、梶第一団地Cブロック跡地、旧寺方団地跡地(第8期)、寺方元町4丁目市有地の売却で712百万円の財源が生まれるのです。

     

     これで何とか歳入歳出のバランスを保っているのが平成29年度の予算の実態です。

     

     通常、市民税などの公法上の収入は残らず予算計上され、私法上の収入、とりわけ財産売り払い収入はほぼ確定しているもののみを計上し、売却後に補正、あるいは決算で調停するという方法がとられます。

     

     しかしそれでは歳入欠陥を生じますので、財産売り払い収入を当初予算に計上されたものと推察されます。

     

    「歳入の範囲内で歳出を組むという原則を貫く予算編成を徹底する」という「改訂版改革ビジョン案」はその出発から大きく踏み外して、まさに羊頭狗肉、市民にパンと偽って石を与えるものになっているものであり認められません。

     

     次に、29年度は新たに、総合窓口の民間委託、ごみ収集の委託が行われる予算が計上されています。

     

     「官から民へ」という市長の掛け声に従って行われています。

     

     かつて、徳川幕府から政権を奪取した、いわゆる「薩長土肥」を中心とした明治政府は、国民を統治する機構として太政官という巨大な官僚機構をつくり上げました。その太政官という「官」が日本の統治機構として、現在まで連綿とつづいているといわれています。

     

    「官から民へ」というのはその統治機構を「巨大な官僚機構から国民の手へ」というのであれば大義名分も立ちます。

     

     しかし、守口市の民間委託はそのような大層な理念はなく、単に「公から私へ」という程度にしかすぎません。すなわち公の仕事を一私企業へ手渡し、税金を私企業のために使うというのでしかないのです。

     

     総合窓口の当初予算ベースで比較すればそのことがよくわかります。

     

     平成28年度の人員は正規職員23人、再任用短時間職員6名、臨時職員13名で、人件費合計は24417千円でした。平成29年度予算では正規職員19名のみの配置で、人件費合計は17894千円です。

     

    したがって69523千円の抑制効果があります。しかし、民間業者に委託しますから、その費用が必要です。必要なおカネ、委託料は8472千円ですから、1千4百万円の持ち出しになります。

     

     民間委託しても財政効果はなく、ないどころか、かえって負担が増額するのです。ごみの収集業務に至っては人件費はほとんど変わりませんから、委託料だけが増額することになっています。

     

     ましてや戸籍事務には職員しかできない行政処分という大きな壁があり、全国でも民間への委託は躊躇している分野で、その必要性が疑問視されています。

     

     「官から民へ」という言葉だけが踊って、その中身は、市民が汗水たらして働いて収めた市民の大切な税金、公のカネが、私企業である、民間業者の利益のために使われるもの、といっても決して過言ではありません。

     

    このような民間委託は認められません。

     

     次に、コミュニティ拠点施設であります。

     

     平成263 月に「守口市地域コミュニティ拠点施設基本計画」が発表され、パブリックコメントを経て、以後この計画に沿ってコミュニティ拠点施設を整備していくとしていました。

     

    ところが、計画に従って、まともに新築と決定されたのは、曲がりなりにも、東部エリアコミュニティ拠点施設のみで、残る2館は既存施設のリノベーションによる再利用ということになっています。

     

     「基本プラン面積表・各室概要や地域特性や地域住民のニーズに対応して、各室の規模・形状を変更し、トレーニングルーム、スタジオ、展示室などを確保することが考えられる」などは絵に描いた餅にすぎません。

     

     看板倒れ、入り口は大変立派だったが、中に入ってみると急ごしらえのにわかづくりで、全く期待はずれだったというのが実感です。

     

     東部エリアコミュニティ拠点施設の建築金額の増額も看過できません。12億4千万円の請負金額が、地中障害物撤去などで、2億6千万円新たな工事を余儀なくされた上に、さらに、3千3百万円の増額です。

     

     このような費用は、建築計画当初にきちんと体制をとり、要所、要所での監督・検査を行っていれば不要になったはずのものであり、認められません。

     

     道路休憩施設がある駅前交通広場の都市計画道路を400㎡変更するということも重大な問題です。

     

     守口市駅前再開発については守口市も特別の臨時組織をつくり、議会も特別委員会をつくって文字通り全市を挙げて取り組んできた経緯があります。

     

     詳細は省きますが、議論に議論を重ね、現在の都市計画が決定されたのです。その都市計画を簡単に変更しようとしていることに大きな疑問を持ちます。

     

     本来、都市計画を変更しようとするのであれば、社会情勢、駅前の人の流れや賑わい、自然環境、交通環境、景観などの変化を科学的に調査し、将来の京阪守口市駅前の在り方を展望したうえで、駅前全体の都市計画の変更を決定しなければなりません。

     

     道路休憩施設の上に屋根を付けるために都市計画のほんの一部を変更するというのは、苦労に苦労を重ねて守口市駅前再開発に取り組出来られた先人に対する冒瀆以外の何物でもありません。およそ都市計画に携わるものであれば断じてできるものではないはずです。

     

    「にぎわい創設」に名を借り、道路上に建築物を建設できないという理由で、都市計画道路を便宜的に変更するというのは認めることができません。

     

     ましてや、先に予算を通しておいて、そのあとで都市計画の専門家会議である守口市都市計画審議会に諮るというのは、審議会委員さえも冒瀆していることにほかなりません。手順前後であり認められません。

     

     就学前教育・保育の無償化が4月から始まりますが、当然申し込みが増えるのは予測できたはずです。小規模保育所などの増設を民間園に依頼しているわけですから入所児童も増えることになるのは当然です。

     

     そうなれば必要なのは保育士です。他市でも競って国の公定価格の上乗せ以上に保育士の処遇改善を行っているのです。公定価格の上乗せは4月1日現在の保育士に限定されていますから、途中の増減には対応していません。

     

     で、あるにもかかわらず市の単独での保育士の処遇改善は後退しています。公定価格の上乗せは他市ではそれが前提で、さらなる処遇改善を行っているのであり、前年度水準を維持しているというのは詭弁にも等しいものであり認められません。

     

     最後に、大枝公園の再整備と都市計画道路、豊秀松月線の拡幅であります。

     

     守口市の起債残高は670億円を超える予算となっています。また、公債費比率は、予算ベースでの推計で、29年度は、20%を超えます。

     

    公債費は人件費や扶助費などと同じく義務的な経費ですので、財政構造の硬直化の要因となり、一般的には10%を超えないことが望ましいとされています。

     

     臨時財政対策債か、建設事業債か、地方交付税に算入されるかどうかの議論ではなく、公債費、借金返済が60億円を超えるという事実です。

     

     にもかかわらず、地方債に依存する大型の事業を進めることは、適正な財政運営とはいえません。ましてや豊秀松月線の拡幅は昭和47年に都市計画決定されたものであり、駅前広場が当時と状況が変わったというのなら、この計画決定はもっと古いものであり、当時の決定のまま、ここだけ促進するというのはダブルスタンダードであります。

     

    市役所も変わり、市民会館も取り壊され、次の建設計画さえ具体化されないというこの事実はこの都市計画道路の事業が時代遅れになっていることを証明しています。

     

    当初計画ベースで、大枝公園の再整備に総額27億9千万円、松月豊秀線整備事業に20億8千万円、社会資本整備交付金対象事業とは言え、本市の財政状況からみれば大きな負担となることはだれの目にも明らかです。

     

     今このような事業を行うことは認められません。

     

     以上反対の主な理由を述べてまいりました。

     

     議員として、最も重視しなければならないのは議案審査であります。市長が提案した議案を唯々諾々と賛成するのでは議会の存在意義が失われます。

     

     与党か野党かという区別ではなく、議会の肝は、議案審査であり、すなわち執行権に対する監視機能であります。市長の施策の過ぎたるを正し、足らざるを補う、監視と提案こそが議会の議会たるゆえんであります。

     

     特に当初予算は1年間の市民生活を左右する大切な議会であり、審査であります。

     

     今まで述べてきましたように、平成29年度予算は多くの問題点をはらんでいます。なにとぞ議員各位におかれましては、私どもの反対討論にご賛同いただきますようお願いしまして、討論を終わります。