守口市の令和4年度予算が賛成多数で可決しましたが、日本共産党は杉本議員の反対討論の中でいくつかの問題点を指摘しました。3つ目は、行政の不公平と私物化の疑いについてです。
地域の自治会や町会が所有する「地域集会所」があります。その多くは一定の広さの公園等の守口市の土地を無償で貸与してもらい、地域の市民の寄付や積立金、そして、「地域コミュニティ振興施設助成要綱に基づく守口市からの助成金を受けて建設されています。(土地を民間から賃借している場合や建物を賃借している場合は、賃借料の要綱の指定の金額が毎年助成されます)
また昭和39年、46年、49年に守口市によって建設された集会所が6施設あります。(所有は守口市)この施設は無償で自治会に貸しています。
令和4年度予算では、このうちの一つの施設である南寺方集会所の移転による新築のための予算6千1百34万円が計上されています。
これはもともと、令和2年3月に南地域コミュニティ協議会など6団体から「旧南小学校跡地の一部をコミュニティ活動の場として活用いただきたい」等の要望が出され、旧南小学校の一部、旧体育倉庫を集会所として利用する予定であったものが、解体工事に支障をきたすことが判明したことで、旧体育倉庫を撤去したうえで集会所を建設するということになったものです。
守口市の所有する地域集会所はいずれも建築年度が古く耐震補強がされていません。計画的な建替え、もしくは耐震補強が求められていますが、議会委員会の答弁では、他の5つの施設は計画がなく、南寺方集会所だけが新築の予定であり、しかも、新築した後、地域に所有権を無償で移管するということが明らかになりました。
守口市はこれまで市が所有する建築物を無償譲渡する場合、現状のままとしています。わざわざ新築して譲渡したことはありません。例えば、保育所の民営化でも、土地は無償貸与、建物は無償譲渡し、移管された法人が自らの資金で建替え・新築を行っています。ましてや、守口市が所有する6つの「地域集会所」の施設以外は地域住民が寄付等で資金をつくって建設していますから、本来は、建物を無償譲渡し、地域の住民の資金と市の助成金で建設すべきものです。建物そのものも、4千8百万円と高額です。他の施設では、「要綱」は市の助成金を工事費の3分の1、限度額は300万円としているように、新築価格は1千万円前後、高くても2千万円までです。高額な費用で新築した建物を無償で譲渡するのは、他の地域と比べてあまりにも不公平であるとのそしりは免れません。
また、「南寺方は市長の地元中の地元だから優遇したのではないか」との噂がありますが、それが事実ならば行政の私物化であるとも指摘しなければなりません。
もともと地域の要望は集会所を新築してほしいというものではありませんでした。(左図参照)旧南小学校の一部(具体的には旧倉庫室)を活用するなど再整備を検討してほしいというものでした。
その要望を受けて守口市で検討した結果、4月22日に「旧体育倉庫の残存が教室棟等解体工事に支障を及ぼすことが明らかとなったので、旧体育倉庫は撤去する」「その上で、残存させる旧南小学校跡地に新築することとし、新集会所完成後には南寺方集会所を移転させることについて地元との協議調整を開始する」となったのです。そして唐突に「市の方針に基づき移転させること、旧体育倉庫を市の事情により撤去することから、新集会所の整備について公費で新築し、設置後は地元に移管・管理運営を委ねる予定」と付け加えました。
いつの間に移転が市の方針になったのか不思議なことに最も大切なその説明がされていません。活用してほしい旧体育倉庫が活用できなくなっただけのことであり、守口市としては地域に「使えません」と回答すればすむ話です。
旧体育室の残存が工事に影響を及ぼすとしていますが、実際は体育室を残すと杭が16本抜くことができないというだけです。その部分は公園として整備する予定で、建築物を整備するわけでもないので、杭が残っていたとしても公園整備にそれほど影響が出るものではありません。地域からの倉庫室を活用してほしいという要望を口実に、地域集会所の新築にひた走る守口市の姿がくっきりと浮かび上がります。
公平で公正な市政こそが今求められています。
[2022.8.22] -[インフォメーション・新守口・議会報告]
日本共産党、にぎわい交流施設最適配置事業構想に対案!
体育館は現地で長寿命化改修・文化センターは図書館との複合施設に
守口市にぎわい交流施設最適配置基本構想の問題点については二回にわたって指摘してきました。
日本共産党は、巨額な投資を避け、且つ上位計画と矛盾せず市民要求実現に向けた具体的な提案を行っています。
もともと、ホール機能を持つ建物の建設は、多くの市民の反対の声とりわけ、市議会で採択された守口市市民会館の閉館延期についての請願」(2万624Ⅰ名)を無視して平成26年に閉館を強行したことにより、早急な対応を求められていたものです。
今年二月に守口市にぎわい交流施設最適配置基本構想(素案)が議会に提示されたときに、各会派の意見を求められたため、日本共産党の考えを提示しました。
多くの他の会派も意見を提示しています。その内容は情報公開によって明らかにされ、令和3年度分の綴りの中にあり、市役所2階の情報コーナーでだれでも閲覧できるようになっています。
以下、日本共産党の意見と具体的な提案の概要をお知らせします。
ホール機能のある建物については、旧市民会館跡地とする。
旧市民会館跡地は「守口都市核周辺における将来都市ビジョン」において、「新都市生活創出ゾーン」と位置づけ、市の中心部として、様々な世代や対象に向け、守口のこれからの新しいライフスタイルを創出していくための機能導入を充実させていく」ゾーンであり、新旧市役所、守口警察署、守口郵便局や新築予定の守口消防署など国道一号線に沿った地域を指定しています。
まさに、公共施設が密集しつつ、大阪メトロ谷町線・守口駅の利便性を生かした様々な世代の新しい都市生活を創出する地域です。新しいホールはこの場所をおいてありません。メリットは、「ビジョン」の位置づけにふさわしく守口市の中心部として公共施設群とともにその一端を担えるもので、さらに、大阪市の中心部である梅田から大阪メトロで直接つながっており、交通の利便性が最も高いものです。
ただし、この土地は守口消防署に土地を売却したことで、ホール建設敷地が2000㎡になっていることです。これは文化センターとほぼ同じ敷地であるため、観客席が500席ほどに限定されます。そこで敷地面積が狭小の場合のホール建設の方法である、観客席を二重構造にして席数を800席に増やすことによって解決できます。
ここは、商業地域で建蔽率80%、容積率400%であるから用途地域の変更も必要ありません。そこで、新築するホールは、5~6階建てとし、市民活動のための部屋、貸室などを設置します
市民体育館は改修工事で長寿命化を図る
にぎわい交流施設最適配置調査業務委託報告書には、指定管理者の意見として「空調などの老朽化が課題」「トイレも和式が多い」「小体育室や武道室に空調がない」「現在の大体育室は適正規模「立地条件は駅前がよい」「外構などはもう少し狭くてもよい。他の用途に転用してほしい」などが、列記されています。このことは、現在の場所での体育館が最適であるということを表しているものです。ただ、約35年が経過し、施設の老朽化があり、且つ設備が古くなった上に、ユニバーサルデザインに難があるということが課題として挙げられています。
そこで、体育館は基本的に長寿命化のための改修工事を行うこととし、加えて、エレベーターの改修、エスカレーターの設置、段差の解消などを行い、大阪府の福祉のまちづくり条例に適合した建物とします。また、全館空調として公益財団法人日本体育協会の熱中症予防運動指針に適合したものにします。
京阪守口市駅前という最高の立地条件があるのに、わざわざ移転して、都市計画の基本である用途地域を変更してまで、住宅が建ち並ぶ中に建設する必要性は全くありません。
守口市立文化センターは改修して図書館との複合施設に
文化センターについては、守口市の玄関口にある再開発に伴う施設であることを考慮して、長寿命化・改修工事を行い、市立図書館との複合施設にします。ホール機能はそのままにしておき市民の利用に供します。
駅前開再発時の議論を惹起すべき
守口市の玄関口である京阪守口市駅南側は、昭和61年に再開発が行われました。この再開発をめぐって守口市議会は、都市開発特別委員会を設置し、再開発の理念が「商業開発」か「社会開発」と侃々諤々の議論が理事者も巻き込んで行われました。その結果、商業施設はできるだけ少なくし、公共施設や老人福祉施設、宿泊施設に重きを置くことによる「社会開発」になった経緯があります。
文化センターは「社会開発」のシンボルとして建設されました。取り壊して商業施設にするというのは当時の市長部局・議会、市民の議論をないがしろにする行為です。
日本共産党はこれらの提案を直ちに実行するのではなく、守口市の財政状況をよく勘案し、市民の理解を得ながら進めていくという立場です。
夢洲の埋め立てが始まったのは1977年です。大阪湾に生息していた鳥たちが居場所を求めて、飛来するようになりました。夢洲は、南港野鳥園(同市住之江区)と共に「大阪府レッドリスト2014」で日本固有種を含め希少な野生動植物が生息・生育し、生物多様性の保全に特に重要な場所として「生物多様性ホットスポット」に選定されています。環境省が絶滅危惧種に指定しているカモメ科の渡り鳥・コアジサシが飛来・営巣するほか、今年度は府のレッドリストで「絶滅」と判定されている水草・カワツルモの生息が確認されています。
今、2025年開催予定の大阪万博に向け、アクセス交通の整備が進められ、メインのアクセス交通として建設中なのが、大阪メトロ中央線のコスモスクエア駅と夢洲駅(仮称)を結ぶ地下鉄新線です。工事によって鳥たちが生息する湿地はどんどん減少し、生命の危機に追い込まれています。
維新の会の松井大阪市長は「夢洲はそもそも、大阪の未来都市として埋め立てをスタートした。野鳥のために埋め立て地を作ったわけではない。縄張りみたいなものもあるらしいから“出て行ってほしい”とは言わない。大きなお金を投入して開発してきたから、野鳥の皆さんの理解をいただきたい」。生命の危機に瀕している野鳥たちに何を理解しろというのでしょう。
※SDGsとは世界中にある環境問題・差別・貧困・人権問題といった課題を、世界のみんなで2030年までに解決していこう」という計画・目標のこと